「それでは、10分間休憩を取らせて頂きます」


司会の女性が言い終わらない内に、私はティッシュペーパーの箱を椅子の上に置き、バッグを掴んで部屋を飛び出した。 


階段を駆け降りて、市民学習センターの外に出てから、乱れた息を整える。


「はぁ…」


帰ろう。帰って、何か食べよう。


今日は、お母さんにご飯いらないって言ってきたから、駅前のスーパーでお惣菜でも買うかな。


歩き出してスマホを見ると、マナーモードにしていたので気付かなかった着信が二件。


二件とも川島だ。


とりあえず、かけてみるか。


プルルルル、と呼び出し音が2回鳴ったところで川島が出た。


『はいはーい』


呑気な声に、脱力する。