さぁ、泣くか。


そう意気込んで駅前に降り立つ。


五月の夕暮れ時。薄手のカーディガンを風がフワリと揺らした。


横断歩道の信号が青に変わり、早足で歩き出す。目的地は駅から徒歩五分の市民学習センター。


うーん、なんという地味な響き。


そんな地味な場所へ自ら赴く事になろうとは、思ってもみなかった。


私、津田結花(つだゆか)は三十二歳、実家暮らしの独身女子。営業事務で入社した今の会社は勤続七年目になる。


ちなみに彼氏はいない。


何故、会社帰りに市民学習センターへ向かっているのかというと。


涙活に行くのだ。