「入江」


伊藤は私の右腕を掴んだかと思うと、耳元で素早く囁いた。


「俺……入江がいるから戻って来たんだ」


その言葉に、一瞬で顔が熱くなるのを感じた。私は伊藤の顔を見る事が出来ずに、俯いてしまう。


「また、話がしたくてさ」


俯いたままの私に、伊藤は照れ臭そうに言った。


あぁ、そうか。そうだったんだ。


高一の時、初めてモザンビークドリルの話を聞かされた時。あれが一発目。


たった今、二発目が命中した。


とどめの一発を頭に食らうのは、いつになるのかわからないけど。


伊藤耕太のモザンビークドリルに、私は見事に撃ち抜かれてしまった。




【モザンビークドリル shoot out】