「伊藤は、卒業したらどうするの?」


「就職決まったよ。親がこっちに戻って来いって言うから、地元で」


「そうなんだ? 私も地元で就職だよ」


「家の近所?」


「うーん、通勤は一時間くらいかかるかな」


「そっか、良かった」


「ん?」


伊藤の『良かった』の意味を図りかねていると、担任の先生が入って来たのでみんな前の方に集まるよう呼び掛けられた。私達も行こうと、伊藤に声を掛けようとした時だった。