考えていると、治まっていた吐き気を感じて肩にかけていたタオルケットをガバッと頭の上まで上げた。



タオルケットの中で胎児のように両足を抱えてギュッと目を瞑った。



うとうととまどろみ、意識を手放しかけた時だった。



ガラッと扉の方から音が聞こえた。



「あらあら、寒いのかしら。大丈夫?」



大人の女の人の声が聞こえてタオルケットを下ろして起き上がった。



「顔色が悪いわねえ。寒い?毛布持ってこようか?」



首を振って否定する。



「吐き気以外に何か症状はある?」



メモ帳とペンを取り出そうとしてポケットを探ってから気づいた。



そうだ。
ポケットが邪魔で歩きにくかったから出していたんだった。



返答に困っていると、側で黙って見ていた理玖が助け舟を出してくれた。



「先生、こいつ喋れないんですよ」



「ああ!転入生の子ね。知ってるわ」



納得した様子で先生は私に机の上からとったメモ帳とペンを渡してくれた。



受け取ってから、そこに症状を書き込んで先生に見せた。



「やっぱり熱中症ね。水分、とってないわよね?」


頷く。



「えーっと水と氷とー、、」



先生がブツブツと呟きながら冷蔵庫の方に歩いていった。



「じゃあ、俺はいきます」