「よし、行くぞ」


そう言って理玖は走り出した。



だけど、全速力じゃない。



私に負担をかけないようにしてくれるのがわかる。



汗の匂いなんてちっともしなくて、ふわっと心地のいい香り。



柔軟剤の香りかな?



私の方が臭いんじゃないだろうか。




「失礼しまーす」



理玖が保健室の扉を開けたけど、先生らしき人はいない。



「あー、外にいんのかもな
俺呼んでくるから、由姫は寝とけよ」



そう言いながら、理玖は私をベッドに優しく下ろしてくれた。



そのまま、出て行こうとしたけど、途中で思い出したように振り返った。



「あ、やばくなったら、俺呼べよ」