車に乗り込んだのは俺と優也のお父さんだけで、お母さんは優也と家に残った。


夜の道路をできる限りの高スピードで優也のお父さんは車を走らせてくれた。


いつも笑顔を崩さないお父さんがその時だけは血走った目をしていて徐々に自分が置かれている状況を深刻に受け止め始めていた。


胸がバクバクとなり出し、自然と手足が震える。


「もう少しだからな」


優也のお父さんが俺を鼓舞するかのように力強い声でそう言うが、俺は頷くことしかできなかった。


どうか人間違いであってくれ。


それか、本当に事故にあっていたんだとしても大したことがなければそれでいい。


父さん、母さんと海央を守ってよ。


車の中でただ祈り続けていた。


しばらくして病院についたが、俺は手足の震えのせいでうまく自力で立ち上がることができず、優也のお父さんに背負われて病院に入った。