「っていうか、ここでそういうのやめてって言ってるよね?ここ下宿内での恋愛禁止なんだから追い出されちゃうんだよ?萩原くんもそんなの困るでしょ」



「はい、とおる、ね?」



「どうだっていいでしょ」



「いや約束したじゃん」



会話をしているはずなのに、何も通じていない気がしてげんなりする。



だいたい予想もつくと思うけど、学校内でこの人に追いかけ回されていると、もれなくファンの方々の冷たい目が付いてくる。



私の秘密がバレていないうちから、学校の女子を敵に回すのはさすがに辛い。



そのため、彼に本当にやめてくれと懇願した。



自分ではそれなりに真剣に伝えたと思っている。



だけど、仕方ないなあといった感じで彼は言った。



『じゃあ代わりに、俺のこと呼び捨てで呼んでよ』



しょうもないと言えばそれまでだが、萩原透は真剣そのものだった。



渋々了承すると、彼も約束通り学校では必要以上に接触してこなくなった。