だけど、そんなことばかり考えている私が馬鹿みたいに、陸玖は冷静だった。



前のように授業中に元気に発言したり、常にクラスの中心にいることはなくなり、いつもどこか遠くを見ているようにぼうっとしていた。



もしかしたらできるだけ私のことを視界に入れたくないのかなとも思ったけど、どうやら違うようだった。



周りにそれまで仲の良かった男友達さえも1人も近づけず、いつも1人でいたから。



そういうわけで私のことなんかより、陸玖のそれまでの姿が幻であるかのような変貌に、クラスのみんなの注目は集まっていた。



だけど、美結はそんな陸玖を見てポツリと漏らしていた。



もしかしたら今の姿こそが陸玖の本来の姿だったのかもねと。



家族をたった数年のうちに失い、母親と妹は理不尽な事故で奪われてしまった。



転校してきた時に感じたように、例えあれから3年経っていたとしても陸玖のあの陽気な姿はおかしかった。



今考えれば、陸玖はああすることで自分を必死に保っていたのかもしれない。



でも、それも全て憶測に過ぎない。



陸玖の本当の気持ちなど誰にもわからない、特に正反対の立場にある私にはどれだけ考えてもわからないだろう。



それでも私は日を追うごとにその存在感を徐々に消していく陸玖から目を離すことができなかった。