いつもの雰囲気なんて微塵も感じられないその様子からは自分の目の前にいる人物は美結とは別人なんじゃないかと思えるほどだった。


美結はそのまま話し続けた。


「でもあいつら1人も謝らんかった。
ううん、それどころかいじめた事実さえ認めんで、図太い精神で学校に通い続けた。
人を1人殺しといて、そんなのってある?
あいつらからしたらお姉ちゃんは目障りで嫌な存在やったとかもしれん。
でもうちにとっては何よりも大切な家族やった。
ずっと生きて、夢とか叶えて、普通に暮らして欲しかった。
なのに、あいつらはそんな大したことないうちら家族の夢を自分たちの都合で簡単に潰した。
お姉ちゃんに散々な仕打ちをしといて、それすら認めん、謝ろうともしない。
あいつらは人間なんかやない。
人間の顔した悪魔だ」



淡々とそう喋り続ける美結からは何か殺気のようなものまで感じた。



そして、いつのまにか自分が責められているような気分になっていた。



美結の姿が陸玖に見えていた。



美結のお姉さんが理不尽な理由で殺されたように、陸玖の家族も理不尽な理由で私のお父さんに殺された。



陸玖もこんな風な思いを抱えながらこれまで生きてきたんだろうな。



陸玖も美結も理不尽に大切な人を奪われて、その相手を憎みながらこれまで必死に生きてきたんだ。