でもその次に美結が口にしたのはさらに驚きの言葉だった。



「小学2年生の時ね、9歳年の離れたお姉ちゃんがいじめが原因で自殺したと」




その瞬間私の中に込み上げてきた感情をどう言い表わせばいいかわからない。



重すぎるその事実に私の体は雷を落とされたようにビリビリと震えた。



「うちとは全く違ってて、美人で頭も良くて、運動もできるし、優しいし、頼れるし、本当に自慢のお姉ちゃんやった。中学生の時なんて生徒会長しよって地域では有名な生徒やった。

なのに…
高校に入ってすぐいじめを受けるようになったらしい。
いじめの理由は本当ばかみたいで、いじめグループのリーダーが好きやった男子がお姉ちゃんに告白したってそれだけやった。

お姉ちゃんはいつも人に迷惑かけんように自分だけで溜め込む性格やったから、いじめのこと誰にも言わんで一人で耐えようとしてた。

でも、高校二年生になってすぐ、たった一言、ごめんねってそれだけ書き残してお姉ちゃんは校舎の屋上から飛び降りた。
うちら家族は何にも気づいてあげられんかった。
家に帰ってきて、学校楽しいって普通に笑ってたお姉ちゃんが自分の部屋で毎日泣いてたなんて少しも知らんかった。
悔しくて悔しくて死にたくなった」




「でも、何より許せんかったのはいじめた奴らやった。
その時は今ほどいじめが社会的に問題になってなくて大変やったけど、うちのお父さんとお母さんはいじめたグループを何とか特定した」



美結の表情がだんだんと色を失っていくのが見てわかる。