「なんで来たの?もう知ってるでしょ、私のこと。善人ぶらなくていいよ。私一人でも全然平気だから。あんたみたいなダサい田舎女なんかいなくなっても平気だし」



できる限りの汚い言葉を、できる限りの冷たい口調でスラスラと並べて、表情は崩さぬようにまっすぐと美結の目を見つめた。



いくら優しい美結でもこれだけ言われれば、怒るに決まってる。



大丈夫。



嘘は得意だ。



あと一言だけ言ってしまえば、完全に美結は私のことなんか捨てされる。



陸玖のところに行ってくれる。



「陸玖とは別れたからさあ、陸玖のことが好きならせいぜい頑張りなよ」



吐き捨てるようにそう言うと、美結は無表情でつかつかと私の前に歩み寄ってきて、手をゆっくりと上げた。



殴られるのかなと冷静に考えていると、急に私の手に柔らかい温かさを感じた。



え…



美結は私の手を握っていた。



そして、すぐに私のことをキッと睨みつけた。



「なんで、嘘ばっかりつくと?そんなにうちのこと信用できん?うちはずっと由姫の親友のつもりやった。由姫はそうじゃないと…?」



美結は泣き声のように時々鼻をすすりながらそう怒鳴った。




私はというと、現状が理解できずただ立ち尽くすことしかできなかった。