午前中で家の中の家事はだいたい片付いてしまい、仕方がないので外に出て庭を掃除することにした。



が、それも1時間ほどで終わってしまい、私は家の裏に回ってみた。



おばさんの家は裏側が海に面している。



残念ながら浜辺があるわけじゃなくて、そのまま見下ろすと海なので、楽しく遊べたりするわけじゃない。



落ちたら一大事なので、おばさんの旦那さんが生前に柵を設置したらしいが、木で出来た手作りのそれは飛び越えるのも壊すのも簡単だ。



静かに動く海を見ていると、そこから飛び降りたい衝動に駆られる。



昔、お母さんのために死なないと決めたけど、心の奥底では明日偶然事故にあったりしないかななんて願っていた。



テレビで不慮の事故とかで死んだ人を見れば、私が変わりたいと強く願った。



自分で死ぬことはできないけど、偶然の事故ならしょうがないもの。



罪悪感を感じない間に死ぬことができる。



でもそんな私には神様は死を与えず、未来に希望しかない人にばかり、そんな思いを馬鹿にするように無情に死を与える。



不条理な世界だと何度思ったことか。



今ここで、偶然風が吹いて、偶然弱くなっている柵に体重をかけ、偶然そのまま海に落ちて仕舞えば楽なのに。



どうして簡単に行かないんだろう。