どうしてこんなに汚い私のために泣いてくれるんだろう。



おばさんはずっと私たちのことを心配していてくれた。



その心配を跳ね返し、勝手に傷ついたのは私のせいなのに。



おばさんが泣く必要なんてないのに。



「どうしてそんなに私たちのことを考えくれるんですか。
私たちが傷ついたところでそれは自業自得で、おばさんのせいなんかじゃないし…
それに傷つくことすら許されない」



思わずそう言うと、おばさんは震える手で私の頭を撫でてくれた。



「あんたが事件の後、たくさんの人に出会って、いろんな言葉を投げかけられて、あんたなりにたくさん考えて、そして結論を出して、ここまで生きてきたことはわかってる。
そんなあんたの考えや生き方を否定する気は全くない。
あの事件を自分にも責任があるとして自分を責めているとしても、それは違うと胸を張って言えるほどうちはあんたを知っているわけやない。
世間に責められることを当たり前だと考えることをやめなさいと言えるほどうちは偉くない。

やけど、傷つけられることを当たり前なんて思わんでよか、傷つく自分を責める必要なんてなか。

あんたは犯罪者の娘である前に、ひとりの人間なんだから」



目から大粒の涙を流して、そんな言葉をかけてくれたおばさんの姿が目が潤んでぼやけてしまった。



泣かないって決めたのに。



そうだこれは雨のせいだ。



雨が私の視界をぼやけさせる。



冷え切った心にはあまりにも温かすぎた。



全てを知った上で私の頭を撫でるおばさんの優しさに私は必死で唇を噛み締め、自我を失ってしまわぬよう堪えていた。