おばさんの足は相当悪いことを私はしばらく一緒に暮らして知っている。



近所の友人という人たちがたまに訪ねてきて談笑しているが、自分から家の外に出ることはまずない。



様子を見にきてくれる病院の先生によく心配されている。




おばさんは2年ほど前に旦那さんを病気で亡くしたらしい。



それから少しして足を悪くして、子供のいなかったおばさんは周りの人たちに介護施設に入ることを勧められた。



しかし介護施設に入るためにはこの島を出るしかなく、旦那さんと長い時間をともに過ごしたこの島を出ることは絶対に嫌だと拒否したらしい。



そこで、介護してくれる人がいないものかと探している話を私のおばあちゃんが親戚伝いに聞き、お母さんに伝えたのだ。



お母さんはすぐに連絡を取り、介護をする代わりに住まわせてもらえないかと頼み込んだ。



おばさんにとってもそれほど悪い話ではなかったはずだ。



若い手伝いの手が2人分も一気に手に入り、家賃も必ず払うと約束したから。



しかしおばさんはなぜか断固として拒否した。



電話口で理不尽な言葉でお母さんを怒鳴りつけていた。



たしかにお父さんの事件を知っていたのなら仕方のないことかもしれない。



でもあの剣幕はそんなものじゃなかった。