その時の私は悪意を向けられるのはもうだいぶ慣れていたけど、だからといって傷つかないわけじゃなかった。



次々と聞こえるクラスメイトたちの声は私の心を切り刻み、立ち上がる気力をなくさせた。



俯いて床を見つめていると、視線の先に見慣れた名字が書かれた上靴が見えた。



はっと顔を上げて前を見ると、そこには凛花ちゃんのことをいじめてた子達とその中心に守られるようにして凛花ちゃんがいた。



来てくれた。



やっぱり凛花ちゃんは来てくれた。



「り、りんかちゃん…」



だけど呼びかけた私を見つめる凛花ちゃんの瞳は空虚に染まっていた。



そして、伸ばした手はその中の女子に強く踏みつけられた。



勢いよく床に叩きつけられた左手はボキッと鈍い音をたてた。



思わぬ痛みに耐えられず、思わず左手を抱え込むようにしてうずくまった。



「うざいんだけど。何お前、いい子ぶりやがって。お前は大罪人のくせに」



「うちらのこと騙して楽しかった?」



「まじ時間の無駄だった〜」



頭上から降りかかる言葉たちに泣きたくなるのを必死でこらえる。



こわくない、こわくない。



きっと凛花ちゃんが助けてくれる。