彼女たちは決まり悪そうな表情をして、しばらく自分たちで顔を見合わせていた。



私はといえば側にいる穂積さんには聞こえているんじゃないかってくらい心臓がばくばくと鳴り響いていた。



穂積さんは穂積さんで、状況についていけないのか困惑したように私と彼女たちを見比べていた。



しかし、しばらくした後にリーダー格の子がポツリと言ったのだ。



「由姫ちゃんがそう言うのならいいけど…。私だって別にそこまで嫌ってるわけじゃないし」



周りも頷いている。



提案した張本人ながら私はあっけにとられてしまった。



そこまで嫌ってるわけじゃないって…つい数分前に口々に穂積さんの悪口言ってたよね。



と、まあ突っ込みたい気持ちもないこともなかったけれどここまで私に都合のいい展開はない。



「そっ、そうだよお〜。仲良くしよう!」



私はピエロのように貼り付けた笑顔を見境なくばらまきながらそう言った。



その後、本当に彼女たちは穂積さんには嫌な絡み方はせず、それどころか眉をしかめながらではあるものの穂積さんには謝ったのだ。



それには私以上にクラスのみんな、それから何より穂積さんが驚いていた。