納得したような顔をして、彼女たちのもとに戻ろうとした。



それが私にとって懸命な判断だと思えた。



穂積さんには申し訳ないけれど、私にだって選ぶ権利はある。



わざわざ慣れない土地に引っ越してきて、みんなから嫌われている子とつるんだところで私にメリットなんて一つもないもの。




だけど、その瞬間、またあの子の声が聞こえた。



あの子の上から見下ろすような冷たい目が頭に浮かんだ。



『結局自分のことしか考えてないじゃない』



実際にあの子が言った言葉じゃない。



だけど、その言葉がポツンと私の心に現れたと思ったら、一気に体全体を侵食しだした。



それと同時にそれまでの自分に対する不信感が生まれ、何も変わっていない自分に絶望した。



気を抜いたら、すぐに汚い私が私を占領してそれに気づけない。



あの日自分のことしか考えずに親子を見捨てたお父さんと同じように、私は今自分のことしか考えずに穂積さんを切り捨てようとしたんだ。



恥ずかしい。


どうして変われないの。



大きなことなんて望んでない。



ただ普通の人間になりたいだけなのに。