教科書に目を落としたところで、説明している内容はすでに前の学校で習った部分であることに気づいた。



そこで気が抜けたような気分になって、軽く背もたれにもたれかかり、窓の外を眺めた。




すると、隣から肩を叩かれた。



確認すると、眉を下げてなんだかすがるような表情で私にノートの切れ端を差し出す穂積さんの姿があった。




私は先生に気づかれないように、素早くその紙を抜き取ってこっそり中を確認した。




『私、ほづみりんかって言います。
こんなこと言うの気持ち悪いかもしれないけど、由姫ちゃんと仲良くなりたいです』




これだけ?



正直それが一番な感想だった。




隠れて授業中に手紙で伝えてくるような内容でもないと思うし、そもそも仲良くしたいと思ったなら、さっきのあの態度は何だったんだろう。




改めて、穂積さんの外見を横目に見てみた。




太っているというほどではないけど、ぽっちゃりとした体型で猫背がち
分厚い眼鏡をつけているせいで、目は異様に小さく見える。




大人しそうな印象だった。




人見知りで、自分から話しかけられなかったのかな。



そう勝手に結論づけた。