休み時間の間ずっと質問に答えたりして過ごしていたが、ふとあることに気づいた。




さっき私に異様に視線を向けてきた子は居心地の悪そうに肩を萎縮した状態で、自分の席に座っていた。



席が近い人の名前はいくつかは覚えていた。



確か、穂積凛花と言っていた。



いかにも興味のありそうな雰囲気をさっき向けてきただけあってなんだか不自然さを感じた。




とは言っても、目の前の大勢の人たちを無視して、その子一人に声をかけることもできず、その休み時間は終わってしまった。




次の授業は算数だった。




先生は、始まってすぐに私に隣の人に教科書を見せてもらうように言った。




私は一番端の席だったため、隣というとさっきの穂積さんしかいなくてそっちに目を向けてみた。



すると、彼女と目があって、見せてもらってもいい?と小声で尋ねた。




穂積さんは慌てたように消しゴムや鉛筆をその辺に散らばしながら大きく頷いて勢いよく机をこっちに寄せてくれた。




びっくりしたけど、とりあえずありがとうと言っておいた。



穂積さんは何度も首を振っていた。