お祖父ちゃんとお祖母ちゃんは事件のことには一切触れず、私を温かく迎え入れてくれた。




お母さんにそっくりで、実際の歳とは大きくかけ離れて若く見える美しいお祖母ちゃんは専業主婦。




いつも大きく口を開けて豪快に笑うお祖父ちゃんは一般企業に勤める定年間近のサラリーマン。




子どもの分際で全く失礼だが、お母さんの実家は普通の庶民なんだと考えていた。




だけど、久しぶりに訪れた、決して広くはないその家は私が長い間育ってきた大きな屋敷よりよっぽど住み心地が良かった。




もちろん、お風呂の狭さや、部屋の少なさにどうしても驚いてしまうことはあったけれど、そんな非日常な日々も2日3日で終わった。




私はこの生活に慣れていかなくてはいけないのだと頭に言い聞かせた。