14年振りとは思えないほど、麻里子さんは変わっていなくて綺麗な人だった。
 
 年を感じさせない人ってこういう人なんだろうと思う。まぁ、うちのお母さんとは年も離れてて確か5才年下の筈。それでも40代後半とは思えない綺麗な人だ。


「座って、座って。もうじきお昼できるから、それまで冷たいものでも飲んで待ってて」


「ありがとう、珠子さん。ほら、智弥も早く入りなさい」


 麻里子さんの後ろからゆっくりと入ってきた男性に、私の動きが止まる。長身の男性が少し緊張した顔つきで頭を軽くペコッと下げた。
 身長は180センチくらいはある、短髪の黒い髪にやや焼けた肌。スラッとした高くて長い鼻に、少しだけ切れ長の目。少し厚めの唇・・・・
 これは、俗にいうイケメンだ。すっごくかっこいい!!「芸能活動しています」って言われたら「そうですよね!モデルですか?俳優ですか?」と聞き返してしまいそうになるくらいに。
 

「怜美、見惚れていないで早くお昼の準備手伝って」


「はっ」
 
 お母さんの声に我に返ると、智弥はくっと軽く笑いを堪えるように笑った。その仕草に顔どころか全身が熱くなるのを感じる。


「わかってる」
 

 これは何かの間違いだ。
 あの智弥がこんなにイケメンになっているはずがない。小学生のころなんて、私よりも背が低くて、もやしみたいに細くて、女の子に間違われているような子だったのに。
 
 私の中にいる智弥はボーイッシュな女の子に近くて、こんな男らしい人になってるなんて想像もしてなかった。