「怜美、一人暮らししてるって、この前言ってたよな」


「ん?うん。2つ先の駅近くに住んでるよ」

 注文した料理がいくつか運ばれて、食べ始めると智弥が話し出す。

「お、そうなんだ。俺も同じその駅近くのマンションにいるんだ」


「偶然だね!朝、会ったりするかも?」


「かもな。でも、実家からでもそんなに変わらないんじゃないか?」


「んー、30分くらいの差はでるかな?女の朝の30分は大きいわよ」

「なるほど」

 ははっと明るく智弥が笑い、私もつられて笑う。

「智弥は、会社に慣れた?」


「慣れたもなにも。こっち来て早々、上司や先輩方と取引先へ挨拶回りばっかしてて、部署の人達の顔なんて正直覚えてないくらいだから」


「それは、大変だね」


「朝行って、おはようございまーすって席に着こうとした途端、さぁ、行くぞ!って。そんな状況が続いて早2か月」


 営業って大変なんだなぁとつくづく思いながら、話を面白ろ可笑しく聞きながら、食事も弾んでいった。


「今度、歓迎会してくれるって話だから、その時に部署の人達と顔合わせできると思うけど、なんか、今さら!?って感じだよな」


「初めまして!みたいな?」


「なっ!もう2か月過ぎてますが、改めてよろしく!みたいな」

 顔を見合わせて、ふっと笑った。