楠木くんの家のお風呂で
ついさっきの光景を思い出す。
私自身を大事にすることが
楠木くんを救う?‥
改めて考えると、夢のようで‥
そんなありえない言葉を言えてしまう
楠木くんが、私の脳内を占めていく。
「っ、、なに考えてんの‥、、」
そんな独り言は‥
シャワーの音にかき消された
ふと視線を落として目に入ったそれに
心臓が震えるのが分かった。
「もう消えそうじゃん‥」
私自身がカッターでつけた傷。
これは、周りの人を傷つけないための傷。
消えるって決意の傷。
もう二度と【生きてたい】とか、
【幸せになりたい】だとか、そんな手の届かない夢なんか見ない。
そう決意したのに、、
楠木くんと一緒にいたりなんかしたら
またこんな風に胸が苦しくなって
消える事が怖くなる。
ほんと、なに浮かれてたんだろう。
もう、甘えたりなんかしない。
もう、泣いたりなんかしない。
迷惑なんか、かけたくないから。
これだけをそっと、、刻み込むように
心に誓った。