それから少しの間
楠木くんの腕の中にいた

そこはどんな場所よりも
居心地が良くて、何より、、温かかった。


「綾瀬さん、今日泊まってく?
嫌じゃなかったらどーかな?‥」


そう不意に聞こえた方に視線を移すと
少し頬を赤く染めた楠木がいた。


きっと、すごく勇気を出して
誘ってくれたんだって思うと
素直にうれしかった。



「あっ、あのー、
迷惑じゃ‥ない、ですか?、、。‥」



今日、初めて面接に来た女の子を
家に泊めるなんて迷惑な話だと思う。

よく知りもしない子を
家に泊めたりなんてしないはずだよ‥


楠木くんは受け入れてくれても
楠木くんの親さんや、お姉さんを
きっと困らせる。



「もちろんっ、綾瀬さんなら
大歓迎だよ!きっと、。」


そんな風に笑ってくれる楠木くん。


「ご、ごめん、。急に誘ったりして、
綾瀬さんともっと話したいっていうか、
もっと一緒にいたくてっ、、」


照れながら、また恥ずかしい言葉を言って
再び照れてる楠木くんは何か可愛くて
笑ってしまう‥


「あ、あのっ、気にしないで‥
何言ってんだろ、俺っ。」


またひとりで顔を赤くしてる楠木くん。




「‥、、泊めてくれる、、、ですか?。」


緊張して、カタコトになってしまう、。


「えっ?!!も、もちろん!!!」


すごく嬉しそうにしてくれる楠木くんに
また、好きの想いが強くなってしまう‥



「あっ、、でも、大丈夫?。
お母さん、心配するんじゃ‥」


思い出したように楠木くんが言う


「‥、全然大丈夫だよぉ、、ありがとっ
気にかけてくれて。」


大丈夫。
だって、家には誰もいないんだから‥

お母さんは帰ってこなかった、、
ううん。これからもきっと‥
帰ってこないんだからっ‥




もう、どうだっていい。