とりあえず楠木くんを
自分の部屋まで案内する

この家の中で唯一まともな部屋だから、、
他の部屋は見せられない


私の後ろをついてくる楠木くんが
ちらちらと家の中を見ているのが分かる
きっとこの光景が気になってるんだ。

時折、悲しそうな瞳をする楠木くんは
私に気を遣って何も言わないでいてくれる


階段を上がって左側にあるのが私の部屋



ーーー、ガチャッーーー

部屋のドアを開けて楠木くんに入ってもらう

「どうぞっ!片づいてないけどごめんね、」

「あっ、ありがと、、てか綺麗じゃん」


私の部屋は本当にシンプルで
見渡す限り、ほとんどの物が
白をベースにしている。

今時の女子高生のようなピンクの女の子らしくて可愛い要素はないと思う、、
かと言って男っぽいなわけでもなく、、

ひと言で言うと、、【 無 】って感じかな。


とりあえず部屋の真ん中に置かれた
丸テーブルを2人で囲んで座る

心なしか楠木くんがそわそわしてる。

「、楠木くん?、、大丈夫?」

「あっ、うん。俺なんか緊張してるかも。」

「えっ?、」

「初めてなんだっ、、
女の子の部屋とか入れてもらうの」

「そ、そうなんだっ。」


楠木くんも初めてなんだ。

私もだよ。

自分の部屋に男の子入れるの、、初めて。

でも、楠木くんはなんか、
こーゆーのも慣れてそうだなっとか思ったりしてた。みんなの人気者だし、、
いつも可愛い女の子達が言い寄ってるのを見かけるから。

だから本当に意外だった。


「あのさっ、綾瀬さん、、」

真剣な眼差しで私を見つめる楠木くん

「う、うん。」

「綾瀬さんの事、教えてくれる?
ゆっくりでいいからさっ、、
ちゃんと聴いてるから。」

ひとつひとつの言葉に、優しさが詰まってて
その優しさを感じると胸が締め付けられた。

これからは、楠木くんが
私っていう人間を知ってしまってからは

きっとこの溢れるほどの優しさも
安心をくれる温もりも、、
私に向けられる事は無くなるんだ。