なんで?、、楠木くんが?、、
疑問ばかりが浮かぶ
「綾瀬さん、急にごめん。
家に押しかけたりなんかして、、
けど、、心配で。」
「大丈夫だよ、、
でも、びっくりした。」
なんで家が分かったんだろ、、
「先生に住所聞いたんだ。
綾瀬さんが早退してからの授業の
プリントとか色々届けようって思って。」
そっか。だからなんだ、、
わざわざ丁寧に届けてくれるなんて
本当に楠木くんは優しい。
ここまで、完璧な人っているんだ。
そんな楠木くんだからこそ
みんなに必要とされてるんだよね
私とは違って‥
「なーんて言うのは
ただの理由付けなんだ。」
「えっ?、、理由付け?」
「そう。俺、本当は綾瀬さんがひとりで
倒れてないかって、、泣いてないかなって、
心配で、、いてもたってもいられなくて、
来たんだ。」
楠木くんの視線が私の後ろへと移る
何を見ているんだろ、、
楠木くんの表情が辛そうなものへと
変わっていくから気になって、
そっちに目を向けた
ーーー、バカだっ、ーーー
なんで、気づけなかったんだろ‥
視線の先に広がるのは、
私がいつも見ている光景
壁に空いた、いくつもの穴
割れて粉々になった食器
形を失った椅子
明らかにこの光景は、楠木くんにとって
とても気味の悪いものだと思う。
だけど、私にとっては、
これがあまりにも当たり前だったから、、
何も気にかけることもしないで
後先考えないでドアを開けてしまった。
あぁ、もう本当に最悪だよっ‥‥‥。
今更、隠すこともできない
あれの残骸に
ただ、フリーズした‥。