ーー ガラガラッ、バンッーー



突然、勢いよく保健室のドアが開かれた。

静かな空間の中にその大きい音が
響き渡る。

音のした方へと目を向けると
ドアを開けた男の子は真っ直ぐに私に駆け寄り抱きしめる‥


ーー、っ、、‥ーーー、、。


その力があまりにも強いから
体中の傷がズキズキと疼いた

ちょっと待って!、、
苦しいってっ、、、


「優っ。ゆう〜、、っ、、っ、」

「えっ?、、こ、こうくん?」

「優っ、体調大丈夫?、、っっ、、
きつくない?、、どっか痛いとこは?
っっ、、怪我してない?‥、、」

こうくんが私を抱きしめたまま
今にも泣きそうに聞いてくる

「こ、こうくん!、、大丈夫だから!!
大丈夫だよぉ。ごめんね‥。」

こうくん、ホントに心配してくれたんだ
もしかしたら本当にただ純粋なだけなのかな

その外見から、よく女子に囲まれてるけど、
こうくん自身の意志じゃないのかな、、
ただ、優しさで構ってるのかな。

ホントは純粋で真っ直ぐで、、
優しくて、、温かい人なんだ。

最初は本気で、こんなの罰ゲームか何かで
どうせ遊ばれてるんだって思ってた

けど、こうくんの優しさを感じる度に
罰ゲームなんかじゃないって、、
そんな期待が膨れ上がってくる。


さっきまで重なってた楠木くんの手は
もうそこにはなくて‥

まだ少し残る、感覚に切なくなる


「ごめん。俺さっ、
朝から優が体調悪かったって気づかなくて
独りで無理してたのに、気づかなくて、
1番に助けにも行けなかった。
ほんと、ごめん‥。ごめん。、、」


こうくんっーーーー。


「こうくん‥。ありがとっ。
ありがとうしかないよ。
こうなったのは私のせいだよ
だから、謝らないで。」

こうくんが謝るなんておかしいよ‥


「だって、、、、。
俺、優の彼氏なんだ。
だから、優のこと1番に守りたかった。

なのに 、楠木に先越されて悔しかった。」


素直にそんな事を面と向かって
言われてしまうと、嬉しいのと、恥ずかしいのとで分からなくなってしまう。


「私ね?、こうくんがわざわざ
こうやって、会いに来てくれただけで
ほんっとに嬉しいよっ。ありがとう」

素直な気持ち。ホントに嬉しいから、
誰かがちゃんと想ってくてるってことが
こんなにも自分の存在を認めて貰えることが


うれしくてたまらないから。


ふと、視線を上げると
ちょうど保健室から出ていく楠木くんが見えた。

その顔はどこか悲しそうで
楠木くんは何を思ってるのかなって
少し気になった。