とにかくそんな梨華だから
そろそろマジで諦めてもらわないと困る。



まさか杏南に直接なんかしたりは
さすがにしないと思うけど‥‥


なぜか俺に執着してるから
ちょっと怖い。









そうこうしてる内に
帰宅時間になる。


今日はただの出校日だから
午前中で帰宅。





桃汰に別れを告げ杏南の教室に向かうと
廊下ですれ違う女子が俺を見て騒ぐ。



あー‥‥


毎回俺を見つけるたびに興奮して
そろそろ飽きてくれねーかな。


気にせずスルーしてるけど
目立つのも構われるのも好きじゃない。





「お、逢坂くん」



俺が廊下を歩いていると
タイミングを見計らったように
杏南が前方の教室から出てくる。




「廊下の方が騒がしくなったので、逢坂くん来たんだってすぐ分かりました」




杏南は照れ隠しなのかうつむきながら
嬉しそうにはにかむ。


ドキ



「‥‥遅くなってわりぃ」

「いっいえ、全然待ってないです」




杏南と俺が話しだすと
周りからひそひそと声が聞こえてくる。



朝の件に続いて
また俺と杏南が一緒にいるから。


付き合ってるとか、どういう関係とか、


いろんな憶測や噂が
飛び交ってるらしいな。



うざ‥‥

杏南はそんな周囲からの視線を気にして
気まずそうにする。



「さっさと帰ろーぜ」




噂や嫉妬が渦巻く場所には
俺の経験上、嫌な霊も寄ってくるし


杏南もビビってるし良いことが無い。




俺は杏南の手を握ると
足早に高校を後にした。