「一緒には、見れないかな。卒業までは厳しそうだよね」


つい、合宿での花火を思い出し、あんな風には見れたらなんて考えてしまって。

口に出してから後悔する。

こんな風に言ったら、せっかくの明るい雰囲気が重さを持ってしまうのではと。

案の定、二ノ宮の声のトーンが先ほどよりも落ちて。


『掟がなくなれば見れるよ』


励ますように口にした。

違う。

励ましてもらいたいわけじゃない。

二ノ宮に気を使わせるんじゃなく、リラックスしてほしいのだ。

例え、僅かな時間でも息が抜けるように。

でも、どうやら私は空回りしやすいらしい。

というか、二ノ宮のようにさり気なく気を使うのは向いていないのかもしれない。


それならば。


『まあ、後夜祭の花火は厳しそうだけど、来年の合宿までには理解してもらえるように』

「あのっ、二ノ宮」


素直に伝えるのが一番だろうと、声をかけた。