「私、マネージャーを辞めます。二ノ宮とも別れます。だから、二ノ宮だけは残してください。彼を助けてください」


彼の大切なものを、夢を、可能性を、潰さないように。

助けて、守ってあげてください。


私の言葉に部長は目を丸くし、けれどすぐに眉を寄せて微笑んだ。


「実はね、2人のことでみんなで集まって意見を聞いたんだ」


落ち着いた声で教えてくれたのは、私と二ノ宮抜きで行われた話し合いのこと。

交わされた意見をまとめると、私たち2人を退部にするべきだって言う部員は半数に満たなかったらしい。

退部にするまでもないという人たちの大半は、隠していたことが悔しいという信頼に関しての愚痴はあったものの、恋愛に関しては本人たちの自由だと。

それに対し、三輪君を始めとした退部賛成派は、けじめはつけるべきだと主張。

退部するならば、別れるかどうかは本人たちに任せる。

つまり、三輪君たちにとって、別れることより退部することが重要なのだ。


「2人がいままで通りに残れば、三輪たちが納得いかない。部は荒れるかもしれない。でも、君が辞めて二ノ宮と別れたら、二ノ宮の心はそのバッシュみたいになる」


言われて、私は腕の中に閉じ込めたバッシュを見つめる。