新しい週は雨で始まった。
その灰色の空が、叩きつける雨音が、今、目の前にある状況をさらに重苦しく見せてくる。
「そん、な」
昼休み。
朝練の時に確認を忘れていた備品の残量チェックの為、部長にその旨を伝えてから部室に訪れた私は、扉を開けた直後、視界に飛び込んできた光景に目を見張った。
「誰が、こんなこと……」
先月、二ノ宮が気に入って購入したバスケットシューズが、ボロボロの姿になって床に転がっているのだ。
カッターか何かで切り刻まれ、油性ペンでぐちゃぐちゃに書き殴られ、一目でもう使い物にならないのがわかる。
こんな……こんなの、さすがに二ノ宮の心だって折れてしまうだろう。
現に、私の心がこの惨状に挫けてしまいそうなのだ。
ずたずたに切り裂さかれた二ノ宮のバッシュを拾い上げ、抱える。
よく見れば、二ノ宮のロッカーは鍵が壊されたようで、扉が少し歪んで開いていた。
ふつふつと湧き上がるのは、怒りと悲しみ。
このままじゃ、二ノ宮の夢が叶わなくなる。
そう強く感じた瞬間、つかず仕舞いだった覚悟が、急激に固まった。