「……悩みごと?」


遠慮がちな私の声に、二ノ宮は迷うように「贅沢な、ね」と言葉を零した。


「聞いても、平気?」


尋ねると、二ノ宮は体勢をそのままにまた頷いて。

私の腰に回していた腕に、少しだけ力を込めた。


「俺はさ、プロのバスケ選手目指してるから、スカウトはマジで嬉しいんだ。条件は厳しいけど、結果出せるように頑張るつもりなんだ」

「うん」


二ノ宮が、プロを目標にしていたのは知っていた。

入部して間もない頃、先輩たちと語っていたのを聞いたことがあったから。

スカウトについても、昨夜、本人から携帯越しの声で教えてもらったばかりだ。

条件が出ていて、3年のウィンターカップまでの全ての大会で結果を出さなければならないのだと。

それはチームとしてには拘らず、個人での結果でもいいらしいけれど、どちらにせよ、全ての大会でというのはかなり大変なこと。

けれど、わかりましたと返事をしたのだと、二ノ宮は話してくれた。

きっと、かなりプレッシャーがかかっていると思う。

それに今は……


「ただ……正直、三輪のことは困ってる」


そうなのだ。

三輪君の存在が、二ノ宮にとってネックになっている。