とりあえず、二ノ宮が三輪君の可能性を考えて落ち込まないように明るい声を上げる。


「早く帰りたくて気づかなかったのかもね」


すると彼は口角をあげ「そうかもね」と肩をすくめてから、再び段ボールの前にかがんだ。


「誰かが気づいてくれるまで、俺たちは指輪探しに専念してようか」

「うん。……ごめんね、こんなことになって」

「むしろ安心してる。一緒に閉じ込められたのが俺で」


本気にも冗談にも聞こえることを口にして、二ノ宮が段ボールに手を入れた、その数秒後。


「桃原! あった!」


掲げた彼の手には、頼りない倉庫の蛍光灯に照らされて淡く光る銀色の指輪。


「よっ、良かったぁっ!」


膝をつき、急いで彼の手から受け取ると、もう無くすまいと手の中に強く包み胸元に引き寄せた。


「ありがとう二ノ宮」

「そんなに大切に思ってくれてて、俺の方こそありがとう」

「~~っ! もう! 大好き!」


感極まってしゃがんだままの二ノ宮に細く締まった体に抱き付けば、勢いがあり過ぎたのか彼を床に押し倒してしまった。

幸い、頭をぶつけたりはしなかったらしく、二ノ宮は私を受け止め抱き締めたままアハハと笑う。