「え、嘘でしょ」


私は慌てて立ち上がり、扉に駆け寄る。

引き手に指をかけてスライドを試みるも、ビクともしなかった。

間違いない。

三輪君は、中に二ノ宮がいるとわかっていて鍵をかけたのだ。

私が眉をひそめていると、二ノ宮は困惑したように私の横に立つ。


「閉められた? ていうか、鍵は桃原が持ってるんじゃないの?」

「私は持ってないの……」


……失念していた。

そうだ。

鍵は䋝田先輩が持っていた。

私は指輪のことで頭がいっぱいだったし、䋝田先輩も鍵のことは忘れていたんだろう。

それで、三輪君に持たせて、様子を見てくるように頼んだのかもしれない。


「じゃあ、誰かが俺たちに気づかないで閉めたのか」


三輪君がどう頼まれてここに来たのかはわからないけど、でも、彼の瞳は確かに二ノ宮を捉えていたように思う。

私はボール入れの陰にいたし、気づいてなかったかもしれないけど、どちらにせよ恐らく嫌がらせ……なんだろう。