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部屋に戻ってしばらくした頃。
調理室に忘れ物をしたことに気がついた。
『取りに行かなくちゃ。』
私は、急いで調理室へ向かった。
「────────ですか?」
「あぁ、ダメか?」
ん?
調理室へ向かっていると、客間でお母様達がラザフォード様とお話をしているのが見えた。
一体、何を話しているのだろう?
興味を持った私は、少し聞いてみることにした。
「え?ティアナをですか?」
え?
私?
「あぁ。お前達の娘を私の妻に迎えたいのだ。」
は!?
はぁぁぁあ!!?
ラザフォード様は、何をお考えになっているの!?
私は、びっくりして声を上げそうになった。
「娘がラザフォード様の妻に!?...いや、それは...少し...。」
「何だ?私が女好きだと噂されているからか?」
「あ、いえ、そういう訳では...。」
「なら、くれても良いだろう?」
「何故、ティアナを妻に迎えたいと考えられたのですか?」
「あぁ、娘の桃色の髪と桜色の目に惹かれてな。娘を妻に迎えたら、皆の者に自慢できると思ってな。」
...あぁ。
やはり、それが理由なのか。
てっきり、私のことを好いてくださっていると思っていたのに。
結局、私の髪と目を自慢したいだけ。
そう、それだけ。