「絶対イヤだ。俺は協力しないって言ったじゃん」
ハチはくるりと私に背中を向けて漫画を読みはじめた。だけど今日の私も簡単には引くわけにはいない。
「ハチお願い!ハチから誘えば自然だし、あとは美樹ちゃん自身でなんとかするって約束したから」
あまり首を突っ込んでも本当にただのお節介になってしまうし、せめて美樹ちゃんが頑張れる場所を用意してあげたいだけ。
「なんでそんなにナナが必死になるの?」
「……だって、恋愛の難しさなら分かるもん」
私だってハチとこうなるまで時間がかかったし、色々な試練があったり、裕子から言われて気づいたことがたくさんあった。
だから、第三者の協力も時には必要だってことも知っている。
ハチは私の譲らないって表情を見て、大きくため息をついた。
「……はあ。これっきりにしろよな。あとは絶対協力なんてしないから」
「うん!田村くんを誘ってくれるだけでいいから。お願いね!」
……良かった。ハチを説得させるのが一番難しいと思ってたから、これをクリアすればなんとか大丈夫なはず。