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「あのさ、お願いがあるんだけど」
そして夜。ハチがまた私の部屋に来た。
最近は自分の部屋で過ごすよりも私の部屋のほうが居心地がいいと言って、ずいぶんハチの私物も増えてきた。
そんな快適な空間でゴロゴロとしはじめるハチに、私は神頼みのように両手を合わせる。
「花火大会の日、田村くんのこと誘ってくれない?」
「は?」
予想どおり、ハチはものすごくイヤな顔。
「どういうこと?俺とふたりで行くんじゃないの?」
実は美樹ちゃんを誘う以前に、私はハチと約束をしていたんだけど事情が変わったというか、私が変えてしまったというか……。
「美樹ちゃんと田村くんの話すキッカケがほしいから4人で行こうよ。そしたら必然的に2対2になるし、花火大会って雰囲気も良いから絶好のチャンスだなって思って」
田村くんの意思を考えずに無理やりくっつけさせようなんて思ってないけど、やっぱり私は女だから同性の美樹ちゃんを応援したい気持ちが勝ってしまう。