「はい。でも私、人を好きになったのは圭介先輩が初めてなのでなにをどうしたらいいのか分からないんですよね。岡崎先輩はどうやって八島先輩と結ばれたんですか?」
結ばれたという言葉に照れてしまった私は不自然に自分の頬を掻いた。
「私たちは徐々にっていうか……。私もハチが初めての彼氏だし今だって分からないことだらけだよ」
私生活の主導権は私だけど、恋愛の主導権は完全にハチ。
だから戸惑うことも多いけど、幼なじみとしてじゃ得られなかった気持ちがたくさんあるから、ハチのことを〝好き〟だと認めて本当によかったって、今はそう思ってる。
「私も恋愛に関しては内気だけど、言葉や行動にしなかったら相手には永遠に届かないわけだから、やっぱり最終的には美樹ちゃんが頑張るしかないのかなって思うよ」
私が偉そうに言うのもおかしいかもしれないけど。
「……そうです、よね。でもふたりきりで話すチャンスもないですし、せめて最初はお友達からでも接点が持てたらと思うんですけど」
たしかに最初が一番難しい。
そういう点では私とハチは産まれた時から一緒だったし、ふたりきりになれないとか、名前だけでも知ってもらいたいとか、そういう問題はなかったから片思いのアドバイスなんて本当にしてあげられる立場じゃない気もするけど……。
美樹ちゃんが困ったように手をぎゅっとしていて、なにかしてあげたいと考えた末に思い付いたのが……。
「じゃあさ、今週の日曜日にある花火大会に一緒に行こうよ!」