っていうか思わず過敏に反応してしまったけど、これじゃ私のほうが興味あるみたいに聞こえない?
それはそれで普通に恥ずかしい。
「い、いや、興味なくてもいいよ。なんか変なこと聞いてごめん」
そんな恥ずかしさを隠すためにハチと距離を取ろうとした瞬間、グイッと右手を引っ張られた。
「……わっ」
耳にはハチの心臓の音。
それがいつもより速く聞こえるのは私の心臓がそれ以上に速いから。
「シャンプー変えた?なんかすげー好きな匂いがする」
ハチの長い指先がまだ濡れている私の髪の毛に絡みつく。
たまに、本当にたまに、
ハチはこういうことをするから困る。
「ナナ」
私の耳元でハチの低い声が響く。
ゾクッとして、自分でもわけが分からない。
不意討ちすぎというか、いつもの能天気なハチのほうが強いから、このたまにが私の心臓を壊す。
もうただの幼なじみじゃないことは知っている。
ハチは私の彼氏で、私はハチの彼女。
それはちゃんと分かってるんだけど……。