「美樹ちゃんは田村くんとは知り合いなの?」
気になるのがまずそこだ。
田村くんとはなんの接点もないように見えるし、そもそも田村くんが後輩と親しげに話してるところなんて見たことがない。
「同じ中学校だったんです。圭介先輩は野球部で私は陸上部で毎日同じグラウンドで部活をしてました」
あーなんか青春っぽい。いいな、そういうの。
私も中学の時は部活に入ってたけどそんなに熱心じゃなかったし、ハチのお世話で部活は二の次って感じだったから。
チラッとハチを見ると呑気にストローでコーラを飲んでるし、友達の田村くんの話なんだからちょっとは関心を持とうよ!
「それで……私たちに話って?田村くんのことだよね?」
すると美樹ちゃんがまた頬を赤らめて小さく頷く。
恋愛のスキルがない私でも今度は間違えないよ。むしろ私から言いたくなるくらいきっとこれは……。
「私……圭介先輩にずっと片思いをしてて」
きたー!
ほら、やっぱりそうだと思ったよ!
ちょっとテンションが上がってソワソワとしそうになったけどそこは先輩としてなんとか耐えた。
「でも話したことはほとんどなくて……きっと圭介先輩は私のことなんて知らないと思います。だからその……お友達であるおふたりにどうしても協力してほしいというか……力を貸してほしいんです」
美樹ちゃんの声がなんだか泣きそう。
私は少し前のめりになって美樹ちゃんの手をぎゅっと握った。
「分かった!私、美樹ちゃんの片思いに協力する!」
テンションに身を任せて大きな声でそう言った。