ちょっと頭がプチパニック。

聞き間違いかと思ったけどかなりの至近距離で、しかも大きな声で言ってくれたからそれはない。


「「えっと……圭介って誰?」」

恥ずかしいくらいハチと声が被ってしまった。

そもそも私たちを付けてきた理由はハチへの告白じゃなかったの?

そうだと思って色々と勘違いしていた自分が一番恥ずかしいんだけど。


「え?学校でよくお話してるのを見かけるし、
八島先輩に至っては同じクラスでいつも一緒にいるから……」

「ん?圭介?圭介………」

ハチが珍しく難しい顔をしていた。

なかなかその名前と結びつく人物が見当たらなくて、当然私も〝圭介〟なんて人は知らない。

この子の見間違い?

いや、でも私のことは間違ってもハチは目立つから他の人と間違えようがない気もするし……。

そんな私たちを見て後輩は呼び方を変えた。


「田村先輩ですよ!田村圭介先輩!」

「た、田村くん!?」