「あ、な、なんか私喉が渇いちゃったなー。ちょっとそこのコンビニに行ってくるから」

私はハチの彼女だけど、ここは空気を読むことにした。それなのに世界で一番空気が読めない男が隣に。


「え?今コンビニに行くの?なんで?だったら俺も行くよ!」

「………」

やっぱりハチの女心を読み取るスキルは成長してないらしい。

ハチもハチで気づこうよ。

これはアレだよ。アレしかないよ。


「いいからハチはここにいて!」

「だからなんで?」

「もう、なんでじゃないよ!分からないの?この子はハチのことが……っ」

鈍いハチにイライラとしながら声を荒げると、
「……あの!」と後輩がそれを制止した。


「や、八島先輩にというか……おふたりに用があるんです」

後輩はなにかを決意したように言う。


「え、私も?」

そう聞くとまた赤い顔をしてコクリと頷いた。


これは想定外というか……私の想像を越える展開だ。ハチに対する気持ちを私にも聞いてほしいってこと?

さすがにそれは気まずいし、どんな顔をしたらいいか……。


「は、話しというのはですね……」

後輩の言葉にゴクリと唾を飲み込む。

なんだか私までドキドキとしてきて落ち着かない。後輩はまっすぐに私たちを見つめて、そして……。


「お、おふたりは圭介先輩とお友達ですよね!?」

……け、けいすけ……先輩?