「誰あれ?」
ハチもミラー越しに確認して首を傾げている。
「し、知らないよ。ハチのファンじゃないの?」
「うーん」
たぶん昨日からの視線はあの人だと思う。だって放課後まで後を付けてきてるなんて、そうとしか考えられない。
「本人に聞いたほうが早くない?」
慎重になっている私の気持ちとは真逆にハチはそう言って、くるりと歩いてきた道を戻る。
「え、ちょ、ちょっとっ!」
せっかくミラー越しで気づいてないふりをしてたのに、これじゃ台無しだ。私たちを監視するように見ていた人はハチが自分のほうへと歩いてきて、慌ててサッと電柱の影に隠れた。
そして逃げられるわけもなく、ハチはその人の元へ。
なにかあると怖いから私も便乗して近くへと行った。電柱に肩を丸めて隠れていたのは同じ制服の女の子。
胸の校章の色が緑だから1年生だ。
「俺たちになにか用なの?」
ハチがその子に尋ねる。