それから一日中だれかの視線を感じた。

お昼を食べてる時も廊下を歩いてる時も飲み物を買いに行く時だって。すぐに振り向くけど姿はまだ確認できない。

なんだろう。誰なんだろう。

なんとなく気持ちが落ち着かなくて、視線の正体が気になって授業もあまり集中できなかった。


「……はあ」

その日の帰りも自然とため息が溢れる。

「どうしたの?」

先生に見つかると色々とうるさいから学校が見えなくなるまでハチは自転車を押して私はその隣を歩く。


「なんか気持ち悪いっていうか……」

「え、具合悪いの?」

「いや、体調じゃなくて気分的に……ん?」

私の視界に映る〝なにか〟


それを発見して歩いていた足をピタリと止めてしまった。

気のせいじゃない。勘違いでもない。
だって、だって……。


「ハ、ハチ。私たち後を付けられてるかも……」

「は?」

そう言って私が指をさしたのは歩道に設置されているカーブミラー。そこには電柱の影に隠れている人影。

しかも本人はバレてないと思って顔を出してるけど、ミラーにはばっちりとそれが見えている。