いつの間にか外は夕暮れになっていた。
校内は私たちの足音以外に音はしなくて静まり返っている。図書室で本を2冊借りて、急いで昇降口へ。
上履きを靴箱に入れた瞬間、なにやら視線を感じて慌てて振り返った。
そこには不気味に続く廊下しかなくて、もちろん誰もいない。
「どうしたの?」
後ろでハチが不思議そうな顔。
「いや、なんか誰かに見られてる気がして……」
「え、ナナって霊感あったっけ?」
「ううん、それは全く」
とりあえず気にしないことにして靴を履き替えた。
……考えてみれば、こういう時「怖い……」って言いながら彼氏の腕にしがみつくぐらいの可愛らしさがあったら良かった。
目に見えないものは信じない主義だし、むしろハチのほうがチラチラと後ろを見て怖がってるし。
将来のための勉強も必要だけど、彼女としての勉強も必要かもしれないと思ったり、思わなかったり……。