それから、セイくんに学校での出来事を話した。
たいした話題もないからどうしようと思いながら、そういえば先週やってきた教育実習の先生がとても綺麗で男子がテンションあがってる、とか。
窓をあけてたら蜂が入ってきてビックリしたんだよ、なんてどうでもいい話をした。
セイくんは、退屈せずに聞いてくれた。
「美琴は、将来なにになりたい?」
「え、そんなのまだ全然考えてないよ」
「絵が好きなんでしょ?」
「好きだけど、それは趣味だし……上手じゃないし」
「見たいな。美琴の絵」
そういわれて、スケッチブックを取り出してくる。
「……へたくそだよ?」
「見せて」
「うん」
セイくんは、静かにそれを眺めていた。そんなセイくんは、絵になるほどの色男だ。
「……いいじゃん」
「ほ、ほんと?」
「好きだよ」
「……え?」
「美琴の絵。人物画も、風景も」
び、ビックリした。いきなり好きだよとか言われるから。