「お疲れー」

真っ赤な顔した浩太と

涼しい顔したみのりちゃんが

走って戻ってきた。

「山田くん
おはようございます」

「みのりちゃんおはよー」

「俺には…」

浩太は俺にまで嫉妬するか。

ってか、“俺には…”だけ言ったって

自分にも挨拶して欲しいなんて

伝わんねーぞー

「え?」

みのりちゃんもポカンとしてるし。

「あ!
浩太くんも、おはようございます!」

おー気づいた気づいた。

さすがは浩太ラブのみのりちゃん。

以心伝心ですか。

幸せそうで何よりだよ。

「ん、おはよ」

浩太は満足気な顔してる。

…あんなに幸せそうな浩太の顔は

久しぶりに見た気がするな。

しかもそんな表情になってるなんて

本人は気付いてない。

みのりちゃんはやっぱり気づいたみたいで

浩太の幸せそうな顔を見て

みのりちゃんも幸せそう。

キーンコーンカーンコーン

始業の予鈴が鳴った。

みのりちゃんはクラスが違うから

戻らないといけないだろ。

戻りたくないってみのりちゃんの顔に

書いてある。

さっきから浩太とみのりちゃんの2人は

気持ちと表情が一致しすぎて

見ていて面白い。