大空side

あの時、俺に任せてって言ったけど本当を言うと自信が無い。

だって……ほら、平和主義だから。

争い事は好まないけど親友が困ってたら手を差し伸べてあげたい。

だから、あんな風に言っちゃったんだ。

ゆっきーも一瞬驚いた顔をしたけど、あんた何いってんの?みたいな顔をしてる。

ナンパしてる男子生徒もなんだよ。ん?何だ?お前が彼氏か?みたいな顔をしてる。

「あ?お前誰だよ?雪ちゃんの彼氏って言ってたけどマジで?」

「いやいや、なんかの冗談だろ?なぁ、雪ちゃん」

「いや、こいつがあたしの彼氏なんだけど……」

少しの沈黙が起き、その後に2人の笑い声が響いた。

「ちょっと、それマジで言ってんの?雪ちゃん面白過ぎ!!」

「だって…そんな……もやしみたいな男が彼氏だなんて……あー、お腹痛い」

2人ともお腹を抱えて笑っていた。

周りの下校してる生徒はこっちに注目している。

嫌だな、こういう雰囲気は。

「だって…このもやし男……臆病そうじゃん」

……臆病?

この言葉が俺の胸に引っ掛かった。

俺は臆病って言われるのが嫌いだ。

俺は臆病じゃない、そう言い聞かせてムカつく気持ちを抑えた。

「……俺、平和主義だから争い事は好きじゃないだよね。だからさ、ここで引き取ってくれない?」

「は?」

「お前、やっぱり臆病なんじゃ……」

「それに、噂話も好きなんだよね。俺、中学校の友達から聞いたよ。吉田君の事。」

「は?お前、何聞いたんだよ?どうせデタラメだろ?」

ゆっきーがこっそり腕を引っ張ってきた。

たぶんこれは、あまり大事にするな。恥をかかせる程度でいいから、っていう合図だと思う。

……分かってるよ。

「吉田君。君、三股してるよね?ほら、隣のクラスの笹原さんとA組の葛西さん。あと、一つ上の花田先輩。今みたいにナンパからの告白で彼女増やしてるの知ってるよ。これが彼女達にバレていいの?葛西さんも人気あるけど、花田先輩に憧れてる男子生徒も少なくないからバレたら痛い目みるよ。」

「お前……なんで知ってんだよ」

「だから、言ったじゃないか。噂話が好きなんだって」