長い…長すぎる…。

入学式だからといってはりきったのか校長の話は10分以上も続いてる。

しかもこの後まだPTA会長やら何やらが残ってる。

「めんどくせぇ…。」

「えっ?」

隣に座ってた男の子がいきなり呟いた。

真っ黒な髪が窓から降り注ぐ光に反射して凄く綺麗な男の子。

「一緒に抜けない?」

不意にこっちを見たと思えばそんな事を言ってきた。

「何で私がっ!!」

「いいから!!暇でしょ?学校探険しよっ!!」

暇って…!!
そりゃ暇だけど!!

「他の人誘えば?ってわぁ!」

「ほらっ!!」

その男の子はさっと私の手をとり外への出口へ迷いなく走ってく。

後ろから先生達の叫び声と生徒達のざわめきが聴こえた。

だけど今は遥か遠く。

私はこんなキャラじゃない。

だけどどこか楽しんででる自分がいて…。

まるで籠から飛び出た鳥の気分。

私の手を引く男の子の後ろ姿にドキドキしてわくわくした

16歳、春。

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